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黄さんの包丁

執筆者の写真: MikkabieMikkabie


昨日は、日曜日で浜松まで足をのばした。 最近、中華料理に凝っているので、中華料理屋を見ていたら、中から店主がドアを開けて見ていて、目があった。 にこやかに笑っている。 ま、入ることになる。

話を聞いてみると店主の黄さんは華僑で、神戸元町の中華街出身だと言う。 引退したが、働くのが好きなので、小さな店を開いたと言う訳だ。 浜松駅南側の駅裏に黄さんの店 黄河キッチンはある。 店の外観は黄色でフライパンハウスなんて、前の所有者の看板まで、まだついていて、なんの店だかよくわからず、一見、怪しい店だ。 店内は独特な匂いがする。世間一般の中華料理店の匂いとは一風変わった独特な匂いだ。 なぜかと問われれば、黄さんが、神戸元町出身の生粋の華僑であることと関係あるのかもしれない。 さて、何を食べようか。 ラーメンは? という話もあったが、健康上、野菜を食べたいので中華飯を食べることにした。 店主は、500円と800円の中華飯があると言う。 何が違うのか? 具が違うと言う。 ほう。 そりゃ、800円の方が美味いぜ。 と言われて、景気良く800円の中華飯を頼んでみた。 カウンターに紹興酒の瓶が3本並べてあった。 この際、紹興酒というものを飲んでみるか。 おいちゃん、紹興酒一杯。 あっためるかい? え、あっためるのが本式なの? いや、俺が、あっためた方が好きなだけだ。 ふぅん。 まぁ、冬でもアイスコーヒー飲むタイプなんで、冷やでいいや。 じゃ、冷やで。 ふんふん、これが紹興酒か。 色の割には淡白な味わいで、香りは穀物酒の香りがした。 しばらくして、出てきた中華飯は見た目、豪華とは言いがたく、キクラゲも人参もなく、色使いも地味だった。 これが、800円? レンゲですくって食べる。 美味い! おいちゃんは、笑っている。 してやったり、というところだろうか。 黄さんの料理は美味い。提供された時には、ちょっと臭いと感じる時もあるのだが、口に含んでみると鼻に抜ける匂いにも慣れてきて美味いと感じるのだ。唐揚げレバニラの日本人の中華料理とは、まるで違うのだ。本式の広東料理を出してくる。 テレビ出演で有名だった周富徳は黄さんのお兄さんの弟子だそうだ。黄さんから言わせると富徳の料理は包丁の腕から鍋振り、味付けまで全然良くないのだそうだ(笑)。巷間、周富徳が開発したと言われる、エビチリに関しても神戸では富徳よりずっと以前から出していたと言う。黄さんのお兄さんも関西ではテレビに引っ張りだこの有名人だったそうだが、今はもう引退しているそうだ。黄さん曰く、料理の腕は自分の方が上と言う。つまりは、浜松くんだりに日本有数の中華料理人が転がっていると言うことになる。 日本人の中華料理屋と華僑の中華料理屋の味が、全然違うのは、なぜなのか? そりゃ、俺たちは子供の頃から母親が作った中華料理を食べて育つからだと思うね。 逆に日本人は、日本料理を食べて育つだろう? 外人が作る日本料理と日本人が作る日本料理をくらべてみればいいんだ。 なるほど。 おいちゃん 趣味はなんだい? 俺の趣味は、釣りとボーリング 釣りって、遠州灘で海釣りかい? うんうん、こんなデッカいスズキを釣ってね 店に出すのかい? いやいや、みんな友達にあげちゃう へー。 包丁で捌いて配るの。 その包丁ってのは、中華包丁じゃないよね? 出刃包丁でしょ? いやー。中華包丁で捌いちまうよ。 出刃包丁で、すーっと挽くところを、中華包丁ですーいっと挽くと捌けちゃうの。 へー。 中華包丁って凄いね。 へへ。 で、どこの中華包丁使ってる?と聞くと、急に真面目な顔になり 俺は杉本を使ってると答えた。 杉本とは東京築地に本店を構える杉本刃物のことであった。 日本のじゃん?と聞くと硬い表情が崩れ、 包丁は、杉本か堺。 日本の包丁は、ハガネがいい。 香港の包丁も、試したけど、硬いものに当たると刃が曲がる。 包丁は、日本のが一番と言った。 へー。 ハガネか… 家でも、中華包丁使ってるの? そりゃ、使ってる んじゃ、お母さんも中華包丁で料理してくれたんだ。 いやいや、お母さんは普通の小さい包丁で。 ほー。 つうと、中華包丁は料理人の包丁ってことか! 世の中聞いてみないとわからない事だらけである。 黄河キッチン 開業から9年。はてさて、これからどうなることやら。 黄河キッチン 電話 090-8532-2179営業時間 11:00~22:00  木曜定休日静岡県浜松市中区砂山町316-5

 
 
 

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